多くの業種で人手不足であること、また国際化社会に対応する観点からも、“技能実習生”の受け入れが増えています。
2021年1月、厚生労働省が発表した『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)』によれば、外国人労働者数は172万4328 人で、前年比 6万5524 人(4.0%)増加しています。これは、2007年に届出が義務化されて以降、過去最高の数値です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、対前年増加率は前年 13.6%から 9.6 ポイント減り4.0%と、大幅に減少していますが、それでも労働者の数は過去最高という現状を考えれば、多くの企業が人材不足解消のため外国人労働者の雇用に積極的に踏み切っている状況がうかがえます。
<しかし本来、外国人技能実習制度は、技能移転を目的とした制度のため、労働力不足を補うための手段ではありません。そのため受け入れ側にも厳しい条件が課されています。
技能実習制度と受け入れ可能な職種
外国人が日本に滞在できる在留資格には、さまざまな資格があります。そのなかで、多くの外国人が取得している在留資格が「技能実習」です。「技能実習制度」とは、通常の就労ビザと異なり、国際貢献を目的とした在留資格です。最長3年間、日本で雇用されながら技術を身につけて母国へ帰国し、現地で活かしてもらうことを目指します。
技能実習の理念として、以下の2つが掲げられています。
- 技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと
- 労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと
このように、「技能実習は不足している労働力を補うために活用する制度ではない」ということを必ず念頭に置いておきましょう。
技能実習に該当する職種は、2022年6月現在、「85職種156作業」あります。
技能実習の基本理念
技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。
技能実習を受け入れるには、(1)企業や個人事業主が受け入れる「企業単独型」と、(2)非営利の監理組合が管理・企業へ受け入れを行わせる「団体監理型」の2種類があり、多くのケースでは「団体監理型」で行われています。
技能実習は「講習」「技能実習1号(1年目)」「技能実習2号(2・3年目)」「技能実習3号(4・5年目)」という4つの期間に分かれており、「技能実習1号」以降、各期間の終了時には、次の期間も実習を続けるのにふさわしいスキルを身につけているか、試験が行われます。その試験に合格すれば、次の実習期間に必要な在留資格を取得することができます。